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Channel: 瓜田純士
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桜麗

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瓜田純士-DSC_0013.JPG

昨年の今頃、




自宅近くにセダンが停車していた。








『俺何かしたかな?』




ナンバーは敢えて見なかった。







警察車両と分かっていたから。




23の時、



川越少年刑務所の分類で


運動場から桜が見えては


自分の満期を数えて
気が滅入ったのを記憶している。





カレーが美味しく、


炊事係の宇田川警備隊の子が
食器棚から


小さく折った紙片に





『どこに赤落ちしても
自分ら応援してます。』



と書かれていて、



拾った桜の花びらと挟んで
独居の官本に挟んでからカレーを食べた。




美味しい


と思えた。






松本に行き




府中から出所するまでは

桜は目に入らなかった。





出所してから


己の弱さも強さも愛する事も
全て履き違えて生き、



たくさんを傷つけ





ぬくもりを探しては

数え切れない程に女を連れ廻した。






次の桜は


27の

精神病院から見えた桜だった。





いつか出れた時




家族から愛する者から



金属バットで殴り殺そう





と強く思っていた。




最初の嫁の母が面会に来た時に




『もしも此処を出れたら


どんな生活を送る気?』




と聞かれ




『お前らじゃ手の届かない場所に行く程名前を売り付け


お前らが本屋に並ぶ俺の書籍をレジで並んで買うのを遠くから見る人生を送るさ』






そう答え


退院してから


全てを失ったあの地獄から



二年間で実現させた時に



心の中で桜が咲いた。





喧嘩や勝負は




如何に時間を掛けてから
どんな形にしろ




最期に勝つのだと覚えるのに27年間掛かった。






昨年



やはりセダンは警察車両で、





数日後


組対が何人も部屋に乗り込んで来て




逮捕された。




全国ニュースに曝され




『宣伝ありがとう』


と思ったのを記憶している。





あれから一年間で



何度も怪我をしては


何人もの権力者を見てきた。







蓋を開けて見ると



大した連中じゃない



力ある者程敢えて口にはしない





と覚え、





人に




純士

早く幸せになれよ




と言われるうちは



人を幸せにできないんだと気付く。







どんな境遇に立たされても



必ず勝ちに変えてきた。




絶対に逃げられない状況は



自分から創るように覚えた。








ようやく気付く







普通の暮らしっていいなと。







俺には無理なんだとも理解している。






何せ敵が多い。






そういえばこないだも軽く色々あったが、







桜が散る前に

全てを失うバカは





今頃呑気に歩いてるんだろう。







愚か過ぎる。




ひとえに全てを愚かと指してるのではない。







勝負の付け方に手段はないのだと




桜が散るように気付くのだろう。







格好良いってなんだろう




格好悪いってなんだろう








どちらにもその定義はない。











どちらでも良い。





桜の下で今
次回作の原稿を書いていると


風に当たりながら気づいた事がある。







今年も生きてた。







来年の桜を考えるような人生は送りたくない。









意地や面子はカネじゃ買えないのに






決まって桜は毎年咲く。






今年と来年は本を出しまくろう。










桜は好きです。








人を惹き付ける唯一の花







銀座赤坂で何万もする薔薇に魅力はない。








涼しいな

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